正月の上高地
(沢渡から大正池へ)

(山行記録)
登山日:1970.12.31(昭和45年)
メンバー:3名
・1日目:沢渡~坂巻~釜トンネル~大正池~中の瀬園テント設営
・2日目:BC~西穂小屋~西穂独標~BC
・3日目:BC~河童橋~大正池~田代池~BC
・4日目:テント撤収~大正池~中の湯

 無気味な釜トンネル、マイナス24度のテント生活、でも深雪の梓川の景観は美しかった。

markホンダN360車内は、荷物で一杯!
 暮れの30日の夕方、車内は人と荷物で身動きもできない状態で、国道19号の夜道を塩尻に向って走る。ただ、運転している自分は、「鳥居峠では、凍結は大丈夫かな?車は大丈夫かな?」と不安な気持ちになっていた。

mark先輩の家にお世話になる
 心配していた国道19号は、雪や凍結にも合わず順調に走れ、今日の宿泊をお願いしていた先輩の実家(大糸線の穂高駅前)には、夜遅く10時に到着した。この夜、ご馳走とビールをいただいた後、3人は暖かいフトンの中で熟睡した。

mark沢渡から釜トンネルへ
 日頃節約する我々だが、今回は穂高駅から沢渡までのタクシーを朝6時に予約していた。
 沢渡のバス停を過ぎた辺りから積雪も多くなり、タクシーを降りて歩き始めることにする。雪は前の人がしっかり踏み固められた状態だったので随分歩き易かった。そして約1時間半ほどで釜トンネルの入口に着いた。

mark真っ暗闇の釜トンネル
 いつも路線バスで通り過ぎる釜トンネルも、重い荷物を担いで歩くには大変な所である。急勾配の登りとトンネル内の蒸し暑さで汗だくになる。しかも明かりが全くなく、ラテを照らしていても無気味な気持ちで、3人とも足早に歩いていた。
 トンネルを抜けた所で、朝出かけに作ってもらった弁当を広げて大休止をとる。
 しばらく歩くと、大正池が目の前に広がり、雲間に白銀の穂高の峰々が美しく見えた。

大正池と穂高
大正池と穂高
中の瀬園テント
中の瀬園テント

【穂高連峰の魅力】
 「穂高連峰は、槍ケ岳から南に延びる岩稜続きの山塊で、大キレットの大きな窪みを隔てて屹立する。北穂高岳から涸沢岳、主峰奥穂高岳と続き、ここから南東に前穂高岳から明神岳が上高地に落ち込む。南西には西穂高岳と急峻な岩峰が連なり、北アルプス唯一の活火山・焼岳へと続く。
 岩と雪の殿堂・穂高連峰は、屏風岩や北穂滝谷、前穂東壁など日本有数の岩壁を有し、涸沢カールを代表する氷河遺跡は残雪も豊富でお花畑も素晴らしく、登山道もよく整備され、アルプスの魅力にあふれる。
」()

mark中の瀬園に着く
 沢渡から6時間ほど歩き、木村小屋で登山届を書き中の瀬園でテントを張ったのが午後2時を過ぎていた。
 当時の装備一式は次のものである。
(団体装備)冬テント(4~5人用)、スコップ、ガソリン(3L)、コッフェル、食器、炊事道具、ハシ、ビニールシート、ラジオ、地図、医薬品
(個人装備)ピッケル、アイゼン、ワカン、オーバーズボン、オーバーシューズ、着替、手袋、サブリック、ラテヌネ、キルティング、ゴーグル、古新聞、キスリング、カメラ、シュラフ、エアーマット、ヤッケ、セーター、帽子、キジ紙、タオル、スパッツ、マッチ、カサ、保険証

mark夜中、寒くて寝れない!
 上高地へ入る数日前に「上高地の気温がマイナス24度」と聞いていたが、やはり想像以上の寒さで毎晩悩まされた。
 寝る時には衣服やセーターを着れるだけ身に付けたり、シュラフの中からは顔が出る部分を極力小さくするなど、いろいろと工夫するが夜中には寒くて目が覚めてしまう。

mark元旦の朝、やはり雑煮
 昨年の鎌ヶ岳山行に続き、今年の元旦も山で雑煮を食べて新年を祝った。
 天気は雪模様であったので、8時近くの遅い出発で西穂高への登山道に入る。次第に天気も回復し、西穂小屋までの2時間は快適な登り。空の青さと樹氷の白さのコントラストが素晴らしい光景である。

mark稜線の厳しい寒さに耐える
 西穂小屋から独標まての稜線は、飛騨側から吹き上げる烈風と寒さが厳しく、厚い帽子や手袋を通してヒリヒリと痛みを感じる。今回の目標としていた独標に上がった時は、3人で固い握手を交した。

西穂高岳稜線(西穂小屋近く)
西穂高岳稜線(西穂小屋近く)
西穂独標に向かう登山者
西穂独標に向かう登山者

mark深雪の上高地散歩、最高だ!
 3日目の朝方は小雪であったが、すぐに晴れ間が広がり好天気に恵まれた一日である。
 いつも見なれた河童橋、大正池、田代池周辺の散歩である。誰にも踏まれていない深雪の中を歩き回り、各々に写真を撮り続けた。

深雪が積もった梓川と焼岳
深雪が積もった梓川と焼岳
田代池周辺の散歩
田代池周辺の散歩
凍り付いた梓川と焼岳
凍り付いた梓川と焼岳

mark最終日のテント撤収は素早く
 毎晩の寒さに耐えきれず、3日目の夜は早めに寝ることにして、真夜中の3時ごろにはテント撤収を開始していた。そして上高地からの帰りの足取りも早く、午前6時半には中の湯に着き、迎えのタクシーに乗り込んで穂高町へ戻った。

mark熱いスープが美味しかった!
 先輩の実家には朝8時過ぎに着き、3人のキスリングを自分の車に詰め込んだ。そして食べさせてもらった「熱い熱いスープ!」が、冷えきった我々の身体を温めてくれた。

map 山岳マップ

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