一度は越えて見たい徳本峠越え、歩き疲れて島々の手前で二人ともダウンした思い。
奥明神沢のガラ場を登る
8月下旬の天候は不安定な日が多く、初日から雨に悩まされいた。
2日目、計画を変更して岳沢テントから奥明神沢のガラ場に入る。1時間ほどは普段の登りであったが、急斜面になるにつれてガラ場の登りに神経を使うようになる。自分の足を乗せた石が崩れ落ちる状態が続き、あまり楽しい登りではなかった。(本来は登るルートではない)
本日の目標である明神岳主峰へは、ガラ場を登りきった稜線から、5分程の岩登りで頂上に上がる。ここから前穂高岳へは1時間程度で辿り着いた。
徳本峠越えの思い
全長16kmもある長くて辛い道だが、我々メンバーの誰かは毎年挑戦している人気ルートであり、自分も一度は歩いて見たいと考えていた。
明神で「犬」に追われる
4日目の朝、後輩と2人(3日目にリーダー下山)で岳沢のテントを早々に撤収して上高地へ下りる。いつもは、ここから松本バスに乗り名古屋へ帰るところを、今回は明神方面に向って歩く。
明神館の付近で、突然、近くにいた犬に吠えられる。どうも、我々が身に付けていた「犬の尻当て」が気に食わなかったらしく、こんな妙な光景がしばらくの間続いた。
【徳本峠越え】
島々宿から徳本峠へ登る道は、槍・穂高登山史上の重要なアプローチルートである。明治24年に英国人ウォルター・ウエストンが島々谷を遡って徳本峠から梓の谷に下り、槍・穂高連峰に挑戦した歴史ある道。徳本峠から稜線沿いに霞沢岳へ登る道は、近年、徳本峠小屋の人々によって整備され、かっては上高地から八右衛門沢を登る以外にルートがなかった霞沢岳も、手軽に登れる山として注目されるようになった。」(※)
昔の面影が残る徳本峠
明神から徳本峠までの登りは2時間程である。峠が近くなるにつれて、展望も開け前穂高や明神岳が目前に迫る。
峠には、徳本峠小屋の1軒とちょっとした広場があるだけ。しかし、「島々から長時間かけて歩いていた昔の人達は、ここで初めて穂高を見て感激!」と思わせる峠である。
小屋の近くで、いつもの様にバーナーとコッフェルを取出し、のんびりと昼食をとった。
5時間歩いた後、二人ともダウン!
徳本峠から島々の町まで、途中、岩魚留小屋(名前の通り、小さな渓流には何匹もの岩魚が木箱に生け捕りにされていた)での小休止以外は、5時間ほどずーと歩き通した。
朝7時に岳沢を出発してから、この島々に着いたのが午后5時過ぎ。残り30分で島々の駅に行ける所まで来て、2人ともキスリングを担いだまま、道端で完全にダウンする。幸い、通りかかった車に駅まで乗せてもらい、夜行にならず名古屋に帰ることができた。