京浜三浦海岸駅前から剱崎行きバスに乗り、約20分で松輪に着いた。ここで私と同年代の男女7人が下車し、同じコース予定だったので、大浦海岸まで一緒になって歩いた。
大浦海岸は砂浜がきれいで、近くに民宿もあり、夏には多くの海水浴客でにぎわう。また、関東ふれあいの道「三浦・岩礁のみち」の通り道でもあり、休日にはウォーカーが立ち寄る場所にもなっている。
大浦海岸から間口漁港へ通じる海岸コースが海岸の崩落のため通り抜けできなかったので、もう一度市道に戻り剱埼灯台へ向った。(※間口漁港から歩き始めた方がよいです)
半島の先端にある剱埼灯台の展望は素晴らしく、浦賀水道を挟んで房総半島を望み、後ろには遠く富士山を見渡すことができた。
少し休憩した後、灯台下になる剱崎の岩礁へ降りた。海岸に出ると多少風が強かったが、好天気に恵まれてあまり寒さを感じなかったので、岩場の先端近くまで近づいて見た。ここから眺める澄み切った青空と海、そして、岩にぶつかる波しぶきの白さのコントラストがとても美しかった。
剱埼の由来は、徳川幕府の管材を積んだ五百石船が、この沖で暴風のため難波し、木材もろとも船は海底に沈んだ。そこで海南神社の神主が海に剣を投じて龍神の怒りを鎮めてもらおうと祈ると、すぐに風波が静まったことから、この地を剱埼というようになったと伝えられる。
岬の端に,房総半島の山並みに対峙するように白亜の灯台がたっている。構内にはいって灯台の裏手にまわると,眼下に東京湾が広がり,晴れた日には房総・伊豆,その間に遠く噴煙を吐く大島をのぞむことができる。
しばらく写真を撮っていると、外海から4隻のカヌー・ツーリングが小さな湾内に向って入ってきた。いずれもツーリングを十分満喫していた。
剱埼から江奈湾までは切り立った岩が多く、足元には十分気をつけて歩いた。細い板の上を歩行することもあるので、靴底が厚くて滑りにくい靴を履くのがベストである。
剱埼から盗人狩辺りまでは磯釣りポイントとしても知られ、途中、大勢の釣り人に出会う。少し話しを聞いてみると、「今の季節はマダイ、カワハギ、アジ、イナダが期待できる」との返事が返ってきた。
剱埼から写真を撮りながら約50分歩き、江奈湾がよく見渡せる剱埼小学校前付近で休憩をとった。ここから少し歩くと、江奈湾の干潟と呼ばれる遠浅の場所がある。以前訪れたとき(5月)には、親子揃って生物観察している光景を見かけた。
江奈湾の干潟とは、もともと遠浅の浜のことでひき潮のときに、海底が広くあらわれる所といいます。この干潟では、四季を通じていろいろな生物を見ることができます。中でもカニ類が多く、アシ原にはアカテガニやアシハラガニ、泥場にコメツキガニ、砂泥や転石の下にケフサイソガニなどが生活しています。
毘沙門トンネルの右手側に広がる三浦大根の畑では、これから収穫を迎える時期であった。
江奈湾を過ぎる辺りから県道215号は、毘沙門トンネル を抜け宮川町へ通じる毘沙門バイパスが平成12年(2000)7月に完成している。
毘沙門トンネルの上を通る道を歩くと、毘沙門天入口付近では畑風景が広がり、「春キャベツ」を出荷をするトラックが目についた。
「白浜毘沙門天は、三浦七福神の一つです。ここは持陽山慈雲寺毘沙門堂と称し、本寺は応安元年(1368)妙謙和尚によって開かれたもので、毘沙門天は行基の作と伝えられ、古来より正月三日酉の刻(午後6時)には必ずありがたい神示があると信じられ、近郊近在から多数の参詣、参籠があり、知恵と武勇の守り神としてあがめられている。特に北方を守る武神とされ、厄除け、恵方の毘沙門天であります。」(※)
三浦半島先端の絶壁には、いくつかの海蝕洞窟があり、出土品などによって、いずれも弥生時代の終わりの頃から先史時代にまでさかのぼる先住民の住居跡と見られている。毘沙門海岸にある毘沙門洞窟は県の指定史跡であり、その代表的にものといえる。
毘沙門海岸の浅間山付近の海浜は、5月頃にハマダイコンが群生し、薄紫色の花を咲かせることで花の名所になっている。
「盗人狩には、あるとき、盗賊のひとりが追われてこの絶壁の上まで逃れてきた。しかし、崖の下からは異様な物音が聞こえ、ふと下を見ると、吸い込まれるような絶壁と、逆巻く激浪がぶつかり合っている。そのあまりにも恐ろしい光景のために、足がすくんで動けなくなった盗賊は、たちまち追っ手に捕われたという。これが盗人狩と呼ばれるようになった伝説である。」(※)
盗人狩近くの海岸は、岩礁の断崖が多く、足元の黒い岩には外海の大波が寄せ、白い波しぶきを上げる。この付近からは、城ヶ島と城ヶ島大橋を間近に望むことができる。
盗人狩から、「三浦・岩礁のみち」の終点である宮川湾へ向った。途中、岩場には黄色の花をつけた磯菊を見ることができる。磯菊は海岸の岩場や崖などに群生する草丈20cmほどの多年草で、花は10月末から11月にかけて咲く。
松輪バス停からまで宮川町バス停の「三浦・岩礁のみち」は、入江、岩礁、干潟など海とのふれあいを十分に楽しむことができる。(ただ、高波や満潮時は通行できない場所もあので十分に注意する必要があります)