池の中に配された島に、大小二つの石橋が架けられている。いずれも、橋の中央が高くなったアーチ橋で、中国風のデザインである。
御殿は赤瓦屋根の木造建築で、往時の上流階級のみに許された格式あるつくりですが、雨端などに民家風の趣を取り入れている。明治末期から大正時代のはじめころ、増改築がなされた。
池に浮かぶ島につくられた六角形のあずま。屋根の形や瓦を黒く色付けているところに、中国的に趣を感じる。島へは、一つの石(琉球石灰岩)でつくられたアーチ橋が架けられている。
育徳泉は清冽な水をたたえ、池の水源の一つにもなっている。琉球石灰岩を沖縄独特の「あいかた積み」にして、巧みな曲線が優しい美しさを感じさせてくれる。
「琉球王国最大の別邸で、国王一家の保養や外国使臣の接待などに利用されていた。王家の別邸は、17世紀の後半、首里の崎山村に御茶屋御殿が造られました。首里城の東に位置したので、御茶屋御殿は「東苑」とも呼ばれ、識名園は首里城の南にあるので「南苑」とも呼ばれていた。識名園の造園形式は、池のまわりを歩きながら景色の移り変わりを楽しむことを目的とした「廻遊式庭園」になっている。」(※)