稲荷駅を降りると眼前に大鳥居が聾える。全国に約3万社ある稲荷神社の総本宮である伏見稲荷大社の表参道の鳥居である。道路を横切り鳥居をくぐると・石畳の参道が天正17年(1589)建立と伝わる楼門(国重文)まで続き、奥に拝殿が垣間みえる。
「伏見稲荷大社の祭神は、字迦之御魂大神、佐田彦大神、大宮能売大神、田中大神、四大神の5柱で、それぞれ下社、中社、上社、下社の摂社、中社の摂社の神とされている。現在は五社柏殿として本殿に5柱の神が並び、下社の神が主祭神とされる。五社相殿となったのは室町時代のことで、応仁・文明の乱による焼亡などにより社殿が失われ、明応8年(1499)・現在みられる五間社流造・檜皮葺きの本殿が再興された。」(※)
本殿北東にある建物が権殿で、本殿同様に五間社流造・檜皮葺きで・寛永12(1635)の建物である。
奥社に至る参道に全国の信者や企業から奉納された朱の鳥居が林立し、伏見稲荷大社といえば誰もがこの姿を思い描くであろう。今や伏見稲荷大社を代表する景観であるが、こうした姿は江戸時代の後半期以降に形成されてきたものである。