いまも横浜開港当時の外国人居留地の面影を残す横浜山手地区。港の見える丘公園からイタリア山庭園に続く閑静なエリアに保存されている山手西洋館は、大正末期から昭和初期にかけて建てられた外国人向け住宅を復元し、横浜市が管理し(指定管理者:公益財団法人横浜市緑の協会)一般公開している。7館の西洋館は、横浜市指定文化財(山手111番館、イギリス館)、横浜市認定歴史的建造物(山手234番館、エリスマン邸、ベーリック・ホール、ブラフ18番館)、国重要文化財(外交官の家)として認定されている
山手115番には旧イギリス総領事公邸がある。昭和12年(1937)建造の風格ある西洋館で、領事館が東京へ移ったあとの昭和44年(1969)、横浜市が取得しイギリス館として保存整備した。現在は小規模なコンサート会場などとして市民に活用されている。イギリスの国花にちなむ庭のバラ園はみごとである。
アメリカ人実業家T・M・ラフインの邸宅として、関東大震災後の大正15年(1926)にたてられたものである。設計者は東京丸ビル建築のために来日したアメリカ人建築家J・H・モーガンで、スペイン風の瀟洒な家である。1階の玄関をぬけるとパーティーのできそうな吹抜けホールとなっており、山手の外国人の生活を髣髴とさせる。
日本における「現代建築の父」とよばれるチェコ人建築家アントン人・レーモンドの設計で、スイス人貿易商エリスマン邸として大正15年(1926))山手127番にたてられたものだが、平成6年(1994)ここに移築された。