「瀬戸内海国立公園の一角を占め、特別史跡・特別名勝、風致地区、天然記念物などの指定を受けている。その美しい自然のなかに保存された神話や伝説は、神秘的な景観と相まって、訪れる人々に脈々と受け継がれてきた歴史の重さを伝えている。今日は、世界遺産にも登録され、美しい豊かな自然と厳島神社など、数々の建造物や文化財を守り続ける努力が引き継がれている。」(※)
「海中にそびえ立つ朱塗りの大鳥居とともに、祭神・市杵島姫命・田心姫命・湍津姫命が祀ってある厳島神社。スケールの雄大さ、寝殿造りの伎の極致を物語る建築美、どこをとっても、国内有数の名社といわれるにふさわしい威厳と風格に満ちている。社殿の創建は推古元年(593)佐伯鞍職によるものと伝えられ、その後の仁安3年(1168)平清盛によって現在のように造営された。」(※)
「昔から「神の島」として崇められてきた宮島は、美しい瀬戸内海に浮かぶ歴史と浪漫の島。厳島神社の雅やかな社殿や朱塗りの大鳥居が紺青の海と島の自然に見事に調和して平安朝の優雅さを醸している。桜やもみじが美しい渓谷と古代からの姿が大切に保存されている弥山原生林、その変化に富んだ風光は古くから人々に愛され、 松島、天橋立と並んで日本三景の一つなっている。」(※)
反橋は、勅使橋ともいい、昔、勅使が参拝されるときに渡られるもので、その時は臨時に階段が取付られたと伝えられる。現在の橋は、毛利元就、隆元父子によって弘冶3年(1557)に再建されたものである。
和神と禅宗様(唐様)の枠をあつめ、2つの様式を巧みに融合させた三間五重塔は、応永14年(1407)創建と伝えられている。初層の内部は完全な唐様で色彩も鮮やかに残っている。高さ27.6mにもおよぶ檜皮葺の五重塔は、中心柱が二層で止まっている独創的な構造である。
年間を通じて観光客で賑わう表参道商店街から1本裏の町屋通りは、その景色は一変し、そこには人々の暮らしが息づく古い街並みの姿がある。白壁やベンガラ格子、何百年もの歴史のある宮島商家の趣を残す。