黒部峡谷一帯は、カエデやブナ・ナラなどの落葉広葉樹とツガ・クロベ・キタゴヨウなどの針葉樹との混交原生林に加え、イワウチワやイワカガミをはじめとした山野草が多く群生している。
大きく開いた口のような岩壁の人喰岩。
名剣温泉は「日本の秘湯を守る会」会員の名湯。岩の露天風呂が評判である
黒部川第三発電所は昭和11年(1936)着手、昭和15年(1940)運転開始された。発電所工事は、トンネル掘削時に摂氏160度を越し、発破用のダイナマイトの自然爆発事故を起こした岩盤地帯「高熱随道」に遭遇し、また、大表層雪崩が発生する難工事である。(吉村昭著「高熱隧道」で紹介されている)
全長約86kmの黒部川の上流部分は、黒部ダムを境に、下流の欅平までを、「下ノ廊下」、鷲羽岳(2924m)の源流までを「上ノ廊下」とよんでいる。下ノ廊下では、「白竜峡」「十字峡」「半月峡」「S字峡」などの名勝が続く。
この下ノ廊下を始め、上ノ廊下の踏査を何度も行って、「黒部の主」とたたえられたのが、渓谷探勝を目的とする登山を初めて実践した冠松次郎である。松次郎は大正14年(1925)に、8日間かけて下ノ廊下の完全遡行に成功した。松次郎が完全遡行をした4年後には、旧日本電力株式会社によって、いわゆる「日電歩道」が峡谷の上部につくられた。
猿飛峡へと通じる歩道で、なだらかな登り下りの舗装道。途中の景観は見事である。
正面に見える奥鐘山は、標高1543m、黒部川の河原から一気に600mも立ち上がる大岩壁。河原展望台から奥鐘橋超えに望む景観は、黒部峡谷の中でも屈指の迫力である。
猿飛峡手前に、対岸に本物のふくろうに見える自然にできた木がある。
黒部川本流で最も川幅が狭く、昔、猿が飛び越えたことからその名がついた。